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第12話 病院食の奥行き [病気及び治療経過]

 入院中の食事について少々。
 
朝食は8時、昼食は12時、夕食は6時に出される。そのおよそ30分前に、熱いほうじ茶がコップ一杯配られ、いただける。それからしばらくすると、「お食事の用意ができましたので、取りに来られる方はナースステーション前まで…」と放送が流れる。いそいそと出かける。
 
最初の週は、自分に用意されたものを黙々と完食するだけだったが、次の週から色々なバラエティーがあることが次第にわかってきた。まず、毎週水曜日に翌週の献立表が配られる仕組みだった。そこに選択肢がある。朝食は、Aが米飯で、Bがパン。昼食は選択なし。夕食は、メインディッシュの違いでAB二種類。これを日毎に選べるのである。
 
私は、朝食はBのパン食を、迷わず毎日選んだ。さらにパンは2個または3個を選べる、と、これは看護師さんから聞いた。私は欲をかいて3個を選ぶ。夕飯は、選べない昼飯のメニューと睨み合わせて、一日一食は魚料理が食せるよう選んだ。特に魚が好きというわけではないのだが、魚介類を多く摂るように心がけるほうが自分の体によいという認識を持っていたからである。
 
朝食は、翌週を待たずに、パン食に変えてもらうことができた。200㏄の牛乳パックと野菜サラダと、主に玉子を使った料理が付いてくる。パンは、クロワッサンと葡萄パンとロールパンが、ふっくら温かく、焼きたてを思わせる風情だ。ジャムの小袋が添えられている。そうそう、忘れていたが、忘れても仕方ないほど少量の、底から1.5㎝ほど入ったカップスープも付く。これにフルーツジュースでもあれば、そして食後にコーヒーでも出てくれば、もうご機嫌、ホテルの朝食とさして変わらない。欲をかいて正解だった。
 
ところが、パンがときどき食パン2切れとなる。食パンがふんわり温かくても、これはどうもいただけない。もったいないと思いながらも、つい、半切れ食べ残してしまうことが多かった。
 
朝食はさらにオーダーメードにする途があった。冷たい牛乳パックの代わりに、ヨーグルトという選択肢があることがわかった。さらに、ジョアという選択肢があることもわかった。知るたびにシフトした。乳脂肪より乳酸菌のほうが体によいと思っているからである。パンの通りを良くする飲料としては、豆乳製品を自分で用意すればよい。イソフラボンも前立腺患者にはよいのだ。(いくらか栄養について学んでいた。「医者の私ががんを消した食事法」中野重徳著(中経出版)参照)
 
病院生活はなかなか奥が深かった。一番先に選択肢を全部示してくれればよいではないか。そうとも言えるが、段々わかってくることも、長期入院患者にとっては、飽きない面白いことだった。
 
昼食は、うどんやカレーが出ることもあり、やや変化があった。(ただ、ラーメンにだけは一度もお目にかかれなかった。)
 
夕食も、栄養バランスを考えたものを、趣向を凝らして提供してくれた。私の場合は、血圧が高めで降圧剤を服用しているため、減塩食となっていた。このためか、何を食べても味がイマイチで、最後は200gのご飯が何口か残り、それを飲み込むのがやっとだった。知らぬ間に食べ終えて、「もう一杯」という気分になったことは、残念ながらなかった。(普段いかに塩分を摂り過ぎているかを知ることにもなった。)
180gに減らしてもらおうかなあ〉と思い始めた頃、管理栄養士さんがベッドに訪ねてきて、メニューについての感想を聞いてくれた。そこで、「塩分が少なくて血管にはいいのでしょうが、どうも、唾液の出が悪くて困ります。胃腸には悪いのではないでしょうかねー」と率直に申し上げた。すると、栄養士さん「そうですか、それでは味を添えるものを付けますよ。それも減塩ですけど、海苔の味と梅の味ではどっちがいいですか?」「梅味がいいかなあ」
 
その晩から、小さなビニールパックに入った練り梅のおまけが、私には付いてくるようになった。最後の一口、二口が楽に喉を通るようになったのだった。(そう言えば、入院当初は、義妹が梅の蜂蜜(?)漬けを用意してくれて、それを活用していたのだった。)
 
何でも言ってみるものだ。またまた奥が深かった。

P1000263.JPG
こんな写真しか撮ってなくてすみません!

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